ネコ専務シリーズ
一方、虎魚の野営地。

丸一日、泳ぎに泳いで距離を稼いだ虎魚
の群れは、夜になってようやく移動を
止め、野営して休息をとっていた。
(海底なのに、虎魚や猫魚は昼夜を気に
 する)

大半の虎魚は、猫魚への逆恨みに燃え、
近いうちにまた戦いを仕掛ける気満々
だった。しかしここに一人、虎魚の哲学
者として知られる青年・プトランがいた。

プトランは初めから、この戦争における
虎魚の側の正当性を否定していたが、
これまでは何を言ってもムダと思って、
村のボスへの批判めいたことは何も言わ
ないで
おいたのだが、今、プトランはつくづく
「戦争は嫌だ」
と思っていた。

プトランはその夜、人質のミャーメイド
の見張りを買ってでた。
そして、みんなが寝静まったころを見計
らって、そっとミャーメイドに話しかけ
たのだった。
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