カベの向こうの女の子


今までギリギリのところで止めていた思いが、体の外にまで溢れだした気がした



春菜は涙をまた流した



それを手で拭いながら、春菜は話し始めた



「あたし、嘘ついた波くん、嫌だって思った。しかも…誘拐だなんて、怖いって思った。先生にもそんな奴危ないからもう関わるなって言われて…、」




春菜は途切れ途切れだけど、今までの状況を言ってくれた



俺はそんな春菜を見て、ひどく悲しくなった



駅はざわざわとしていたのがわかったけど、何故だか春菜の言葉しか耳に入らなかった



「あたしも…っ、もう関わらないって思った。だけど、メールとか電話くるし、今まで優しくしてもらったこと、…たくさんあったし、金髪だって高校でお兄ちゃんが目つけられないために染めたっていうし…」



春菜の言葉は脈絡のない、文章にしてみればわけのわからないようなものだった


だけど、春菜の思いは痛いくらいに伝わってくる



俺のために悩んでくれたことが、痛いくらいに…わかった







「嘘ついたこと怒る気持ちも湧かないくらいに…」




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