初恋
「花優ちゃんには、ばあちゃんもじいちゃんもついてるからね。」



飼っている小さな鳥に饅頭の破片をやりながら、ばあちゃんは言った




鳥もこっちを見ていた



「うん。ありがとう」



ばあちゃんは、私がそんなに細かく話したくないのを分かっているようだった




ばあちゃんがお母さんだったらよかったのになぁ



「…今日はすき焼きだけど、食べていく?」



「…うん。ありがとう」



なんだか涙が出てきた



最近よく泣くなぁ



「はい、どうぞ。…ねこちゃんおいで。饅頭あるよ」



私にハンカチを渡した後、廊下に向かって猫をよんだ



忘れるといけないからと言って、猫の名前を「ねこ」、鳥の名前を「とり」 にしているところも、ばあちゃんだなと感じた




ねこがこちらに来た。相変わらずもふもふしていて、丸くて白い大きなほこりみたいだった



私の隣りに座ると、ばあちゃんから饅頭を貰って食べていた



とりはまだこちらを見ている



手を伸ばせば、手の上に乗ってきた



指で撫でてあげると、喜んだ



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