初恋
新たな問題を起こしたくないし、黒中がいるからいいや



なんて思いながら黒中たちと一緒にいた



ある日



「冴川さん、お手伝いしようか?」



書記の仕事をしていた時に、転校生の子に話しかけられた



気になってその子をよく見ていたけど、どこのグループにも馴染めてはいなくて、いつも転々としていた



「ありがとう」



そう言ってから一通りの仕事を手伝って貰った



冴川さん と呼ばれた事に距離感を覚えたけれど、それについては余り気にしなかった



その後の給食で、ハーフの男の子に私が下の名前で呼ばれた時に、転校生の子が

「花優愛ちゃんかぁ…読めなかった…」


と言っていたから、距離感の問題ではなかったんだと安心した



安心したという事は、それなりに気にしていたという事なんだ



常に周りを気にして発言や行動しなければならないのは、1人とはまた違った辛さがあった



いつも1人で死んでた奴が、1人じゃなくなった途端に、私も自由に発言したいだなんて
人間って欲張りだと改めて思った
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