初恋
その日から その転校生の子と帰るようになった


「ねぇねぇ、私、詩音って名前じゃん?だから、呼び捨てで詩音って呼んで!」



純粋そうな高めの声が暗くなってきた道に響いた



「ありがとう、私の事も呼び捨てで呼んでね」



その日から毎日 詩音とずっと一緒にいた



「入るグループに困ってて…花優愛のとこは最後の頼みの綱って感じだったの」



えへへ と照れたように笑った



3、4年アメリカにいたらしく、行動を見ていると 全然知らない人に ばいばいとか、いきなり遊びに参加したりとか まぁ確かにアメリカっぽいかも とか思ったりした



日本人だからそういうのに慣れていないせいか、 誰もが気味悪がっていたのを今でも鮮明に覚えている



黒中は詩音を嫌がった



「あんな子ぶりっこじゃん。ないわー。」



そう言って離れていった


だからといって黒中と仲が悪くなる訳でも無く、以前と同じように喋ったりしていた



ばいばい先輩は、少し残念そうに



「えっ帰れないの?…まぁ2人の中に居るのも辛いしなぁ…保健室と夜のメールだけかぁ寂しいなぁ」



そう言って でも仕方無いよね と付け足して教室に戻った あの日



あの日からまた少しずつ、変わっていった
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