初恋
「そんな事もあったねぇ」



前の優しい声でそう言ったかと思えば、



「花優愛ちゃんも男にいきなり抱き付けるような軽い女の子になったのかぁ…変わるねぇ、女の子って」



わざと変な声でそう言ったりするから、



「軽くないですよ!先輩なら許してくれるかと思ったんです」



少し笑う事が出来た




最終下校の音楽が流れた



「一緒に帰れる?」



「もちろんです」



手を差し出された



「今日、手袋忘れちゃったんです」



そう言いながら手を繋ぐと、



「本当はあるくせに」



そう言って笑われた



「なんで分かるんですか?」



「ずっと見てたから(笑)…って真面目な話になるけどさ、夢斗は教えてくれなかったの?」



「何をですか?」



「隣りのヤツいとこだよって。あいつ知ってるはずだけど」



「いいえ、何も言ってくれませんでした」



「ってか俺の事嫌いになったんじゃないの?」



「有り得ませんよ、そんな事!嫌いになる理由なんて無いですし」



「…じゃあ夢斗が嘘吐いたって事だよね? 携帯って夢斗に貸した事ある?」



「ありますよー…」



リュックを漁って携帯を探し出して、アドレス帳を開くと 櫻木先輩のアドレスが受信拒否に設定されていた



「ないわ、マジでないわ」



呆れたように櫻木先輩が笑った
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