*coffret a bijoux*(SS集)
「そーかよ まぁいいや。

んじゃー言ってみろよ。

どこがいいって?」



「あのね―――…」



あたしは立ち上がって、
テーブル越しに柊弥の耳に
口を寄せて囁くように伝えた。



それを聞いた柊弥はハッと
目を丸くし――そして次に
マジマジとあたしを見て――。



「おま……ホントに、
そこでいいのか……?」



「そこで、じゃないわよ。

そこ“が”いいの」



見開かれた柊弥の瞳を
まっすぐ見つめて、
キッパリと答えるあたし。



柊弥はそれでもあたしの
心をもっと探ろうとする
ように、しばらく黙って
あたしを見てたけど――。



やがて、フッと吐息の
もれるような音と共に、
静かにほほ笑んだ。
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