君だけしか映らない
(あんな言い方しなくてもいいじゃん…)


加藤の冷たい視線を思い出してしまう。


好きでブスに生まれてきたわけじゃない…。私だってかわいい女の子で生まれたかった。



だから嫌なんだ…。


あの人たちといると一層自分が惨めに感じてしまう。


ふと、笑美は佐伯悠哉からもらったぬいぐるみを見つめた。


佐伯悠哉はなんで私と話そうとするんだろう?

一緒にいたって私とじゃ佐伯悠哉が恥ずかしい思いをするだけなのに…。


加藤の言葉を思い出した。
パシリは私のような地味なやつがするものだと…。



(やっぱり…佐伯くんも私のことからかって楽しんでいるんだよね…)



そう思ったら今まで我慢してきた気持ちが溢れ出した。


「…うっ……ひっく…」



涙が止まらない。
自分の容姿について言われることなんて慣れてるはずだったのに…。

久々に言われたからかな…

胸が痛い…。



笑美は涙が止まるまで誰もいない公園で泣き続けた。


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