恋愛温度、上昇中!
『…はい』
低い声は短い電子音の後に聞こえた。
「…高見です」
『……』
沈黙が肌に痛い。
『…なんだ』
この無機質な最先端の機械越しにはその無愛想な声は不機嫌極まりないような気がして、やっぱやめときゃ良かったと後悔がすごい勢いで駆け抜ける。
「あなた、新橋さんと同じ会社よね?」
さっさとこの痛々しい会話を終えるしかない。
『多空?』
関谷は間を置いたあとその名を続ける。
『本当、話聞いてねーのな』
「え?」
『俺と多空は職場は違う』
「そうなの?」
本当に聞いてなかったわ。
『…まあ…おまえ、酒飲むのに夢中だったからな』
うるさい。