恋愛温度、上昇中!
───なんであんたにそんな事言われなきゃなんないのよ、そう言い返そうと思ったのに、言えなかった。
代わりに、関谷があたしの耳元に顔を寄せる。
「抱いて連れてってやろーか?」
微かな煙草の匂いと、甘い香水の匂いが混ざって、その低い声が直に耳に届いてクラリとした。
「へ、変態!ふ、ふりゃちおとと!」
「…どもり過ぎ、噛み過ぎ。とりあえず何言いたいのかさっぱり分からねー」
関谷がからかうように笑う。
「うるさい!」
あたしの顔、今間違いなく赤い。最悪だ、関谷が面白そうにそれを眺める。
「見るな、馬鹿!」
「はいはい」
ぶは、と笑って関谷が、何事もなかったかのようにあたしの前を歩く。歩調がゆっくりで、それがあたしの足を気にしての優しさだとか、思いたくない。