恋愛温度、上昇中!
山都壮士。取引先の部長。年齢は確か30を少し越えた位な筈。
サラサラで色素の薄い髪に、シミやホクロ、シワの類の見当たらない肌。知的に見える眼鏡に、綺麗なアーモンド型の瞳。洗練された所作に柔らかい態度を、自然に持つこの男。
この会社の女子の多数がこの人のこの上品で優しい笑顔に騙されている。……覗いてごらん、腹の中は真っ黒さ。
「あはは、高見ちゃん?銅像のような乏しい表情筋が少し残念な感じになってるよー。仕方ないから飲みにでも行くー?」
仕方ないから、の意味が分からない。
「今日は社長に用事でしたか?飲みには行きません。五百円貰っても嫌です。それでは次のイベントの広告、宜しくお願いします」
「はは☆随所にパンチ挟むよねー?やばー、勃ちそう」
この変態エロ眼鏡。
「セクハラですよ」
「なにが?」
優しい響きの声で完璧な微笑を添えて笑う山都さん。
もうヤだ、この人。あたしは息を吐いて負けを悟った。