恋愛温度、上昇中!
「いみしーん♪!」
「キャー、あたしも綺麗になりたいー」
マチちゃんとタレ目は盛り上がっている。
私の眉がピクリと動いた。
「余計なお世話です」
そう。余計なお世話だ。大体今のはあんたは綺麗じゃないと言われたようなものじゃないか。二十代も後半になって今から綺麗になるだなんて言われても嬉しくも何ともない。その意味も分からない。
「そうだな」
関谷はまたクッと綺麗な顔を歪めて笑った。
「ええ。理解して頂いて良かったです」
ニッコリ営業スマイルを向けて思いっきり金色に輝く液体を口に入れた。
「…高見さんって面白いね」
クスクス笑いながら王子は私を見つめる。多分人工的なものじゃない茶色の髪が照明に透けて綺麗に発色している。柔らかい笑い方をする彼はどこまでも王子様だ。
…面白い、ね。
この偶然の出会いには何の意味もなかったのだ。私の経験値をマイナスにしただけ。