恋愛温度、上昇中!
「……遅い」
第一声は、簡潔で、不機嫌さをきっちり表す一言。
「関係ないでしょうが」
私は姿勢を崩さず声だけ発する。いつか聞いたその言葉に、思えば私はこの人を待たせてばかりだと思う。
「…ったく。元気そーじゃねーか」
関谷は迷う私にお構いなしでいつもの調子、少し鼻声なのが気になって、あんたはまだ風邪気味じゃないのか、と聞きたくなる。
「お陰様で元気一杯です」
「…上等だな」
私の突き放した口調もこいつには全く効き目がないらしい。なんだってゆーんだ。
「なに?私は帰って寝るとこだから。用件なら早く済ませて」
眼鏡に手をかけるのをやめて、関谷を振り返ってキッと睨む。