恋愛温度、上昇中!
それだけ、のために?
まさか、お礼を言うためだけにここに来たの?電話で良かったのに、そう思えば、昼間鳴り響いた着信を無視した自分を思い出す。
「ま、待って」
背を向けた関谷に、私はなにも考えず手を伸ばした。
「あ?なんだよ。俺は帰って寝るところだから、要件なら早く済ませろ」
私がいった言葉が戻ってきて、伸ばした手が少し震えた。
「その…ごめんなさい。昼間は電話とらなくて。色々恥ずかしかったし、いや、そうじゃなくて、とにかく、病み上がりなのに酷い態度で…ごめんなさい」
どう言って良いか分からないまま、ただ謝る。関谷は、悪くない。悪いのは私だ。こんな態度ばかりとる自分が情けなくて、だけどこの人の前ではどうしたら良いのか分からなくなる。
「……おまえさ」
関谷はハァと吐息を漏らした。
見上げれば、関谷がくしゃりの頭を掻く。
「ずるいよな、なんか」
その言葉の意味が分からなくて眉を曲げれば、関谷はフッと笑った。
そして、ほんの一瞬、拒むなんて、頭に過ぎる前に掴まれた腕。
「んっ…!!」
−−−−塞がれた唇。
息をするタイミングが分からなくなる位、激しくて、絡まる舌に眩暈がする。
「……やらしー顔」
関谷は唇を離すと、悪魔的に綺麗に笑った。