恋愛温度、上昇中!
そして、その山都さんの言葉に答えたのは彼女。
「お二人も、とてもいい雰囲気ですね」
フフ、と笑う嫌みのない仕草は軽やかで、身についているものなんだと思う。
それなのに、逃げ出したい気分で一杯になる感覚はあたしを包んで、いつものペースを取り戻せない自分が歯痒くて仕方ない。
隣に座る関谷を感じて更に居心地悪い。
「関谷さんと、蓮井さんは恋人同士?」
山都さんの質問に、あたしの鼓動が無意識にドクン、と悲鳴を上げた。
「…違いますよ」
あっさり答えたのは関谷。
不機嫌さが伴ったその声は威圧的で、あたしは思わず眼鏡に手をかける。
もう、よく分からない。
多分、こんなに感情が揺れ動いた事なんて、人生で一度もないから。
だから、どうしたらいいのか分からない。