恋愛温度、上昇中!

「おまえ食べ方気持ちいいな」
「それ褒めてる?」

関谷は私の言葉にプッと笑う。本当によく笑う。

「褒めてるよ」

意外だ、と関谷は体を椅子に持たれかけて姿勢を崩した。

「関谷も、全然笑わない人だと思ってた」
「なんで?」
「居酒屋にいる時はずっと不機嫌そうだったから」

関谷はああ、と思い出したように言った後、タバコに火をつける。

「嫌いなんだよ、あーゆうの。澤田と飲むとすぐ女呼びたがるし多空といると嫌でも寄ってくる。毎回同じ光景みてるとな、面白くもなんともねーよ」

煙草を口に加えたまま、関谷は私の眼鏡を両手で照明にあてて遊んでいる。いちいち仕草が色っぽいのなんとかしてほしい。

「けど、」

そこで言葉を止めた関谷を見上げる。眼鏡のないぼやけた視界でピントを合わす様に関谷を見つめた。

「媚び売らない女は初めて見たな」

長い指先が私の眼鏡の縁を撫でて、どうぞ、と私の目元にかける。耳の端に冷たい指が当たってゾクリとした。
クリアになった景色に、関谷が苦笑する。

「睨む様に見てくる女も初めてだ」

それは、誰の事で、これは何の話だったとか、充てられた色気に頭が飽和して聞くんじゃなかったと思った。



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