少年少女リアル
「そ、曾根君……」
向井さんの声で、我に返った。
今にも泣きそうな顔をしている。
見るな。そんな目をするな。
舌打ちが漏れる。
頭が働き始めた僕は、動揺せずにいられない。
さっきのように睨み付ける事はおろか、目を余所へ逃がしていないと、気が可笑しくなりそうだった。
「お前を見てると、お前等を見てると、イライラする」
最後まで言いきらないうちに、身体は耐えられないとばかりに、勝手に踵を返していた。
佳月が僕の方を見ていたようだったが、目は合わなかったと思う。
足が次第に速まっていく。
出口を抜け、今にも駆け出しそうなほど早足で職員室を過ぎた。
僕は、どうやら逃げ癖があるみたいだ。
あんな場にいたら、神経が磨り減ってどうかしてしまう。そもそも、最悪な状態にしたのは僕自身だけれども。
握り拳が痛い。強く握っていないと、正常を保てないくらい、手が震えていた。
肩で息をする僕は、必死で、滑稽だ。あまりにも可笑しい。
四階へ到着した途端に、足を止めると、激しく咳き込んだ。