少年少女リアル
 額が汗ばむ。眼球が火のように熱い。

遠くの雑音に混ざり、自分の咳が響いて返ってくる。

「曾根君っ!」

声が聞こえてようやく足音に気付いた。が、もう遅い。

向井さんは追い付くと、息を切らせたまま、「待って」と僕の左腕を掴んだ。

目が合うと、反射神経のように顔がぐしゃりと歪んだ。冷静など保てるわけがない。クールだなんて、とんだ誤解だ。


「何だよ……違うだろ……何やってんだよ」

「曾根君、待ってよ。待ってってば」

「追っ掛けてくるなよ。戻れよ!」

「ねぇ、どうして、さっきあんな……」

「もう、うるさい! 放っといてくれ!」

左腕をぶんと振ると、彼女はよろめいて、掴まれていた腕は自由になった。
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