少年少女リアル
 思った通り、荷物はなかなか重かった。
肉体労働なら、運動部に任せればいいのに。

半強制的に雑用を任され、頭の中で文句を並べる。

行き慣れない美術室、もとい美術準備室は、皮肉にも職員室から遠い位置にあった。

ぼんやり運動場を見渡しながら、渡り廊下を越える。
運動場の生徒は、もうまばらになっていた。
まだ走り回っているのは、サッカー部だけか。小さい人影が忙しなく動いている。


南校舎の一番奥に美術室がある。
荷物のせいか、そこへ辿り着くまでにすっかりくたびれてしまった。

どうやら美術室の電気はついていないみたいだ。人の気配すら感じられない。

まさか誰もいないのか?
せっかくここまで来たと言うのに。

美術室を通り過ぎ、半信半疑で準備室のドアに手を掛ける。
呆れて溜め息を吐く準備はできていた。

けれど、鍵は開いていた。
僕が如何にあの女教師を信用していないかがはっきりして、何だか笑けた。


「わ、……びっくりした」

窓際に女子生徒がいたらしい。
ノックもせずに入ってきた僕に驚き、お互いに「あ、」と声を出した。


「曾根君……」

「向井さん?」

……だったっけ、と心の中で自分に確認した。

確か同じクラスの、向井……さんだ。下の名前は分からない。

逆光であまり顔が見えなかったけれど、――今思えば、泣いていたのかもしれない。
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