少年少女リアル
 二日かけて僕は『紫陽花』を読んだ。
爽やかな第一印象とは打って変わって、毒々しい感じがした。


大まかな内容は、紫陽花の園に住む兄妹の禁断の恋愛、といったところか。
浮気性の女に、男が嫉妬ゆえに発狂。見ていられなくなった女は紫陽花の毒で男を殺し、後を追う。

単純で在り来たりな物語だったけれど、巧緻な文飾が物語を毒々しく彩っていた。
特に、殺した男を埋めた庭の紫陽花が紅く染まっていく場面には、狂気すらも感じる。


夏目さんの指摘は、当たらずとも遠からずだ。
面白いかと言えば「普通」で、『ロミオとジュリエット』のような悲恋物。

こういうのを、純愛というのだろうか。
これが純愛なのか、歪んでいるのかも、分からない。
愛してもいない人を抱いた、いや、犯した僕には。

自分自身が歪んでいるのじゃないかと思うと、激しい焦慮に駆られる。

あの小説を読んでから、怖いほどに切なくて仕方がない。

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