少年少女リアル
上着に腕を通した途端、一気に暑くなった。肩の縫合が甘いような気がするけれど、文句を言える立場ではない。
前のボタンを留め終えると、冴木と元橋さんは「おお」と声を揃えた。
「うわぁ、良いんじゃないの、執事! これこそ萌え!」
「俺、何かやる気出てきたわ!」
二人の興奮の声に誘われ、衣装を縫っていた生徒達からの視線も感じる。
恥ずかしくて、苦笑いしか出てこない。
「何か台詞言ってみてよ!」
「台詞って?」
「何でもいい、アドリブで」
「そんなの分かるか」
そもそも、台詞を決める段階にも至っていないのに。早とちり過ぎて笑ってしまう。
「ねっ! 似合ってるよね、奈央」
向井さんは真っ赤な顔で頷いた。
こんな反応、されても困る。何故だか僕が恥ずかしくなるじゃないか。
「あはは! やだ、何赤くなっちゃって」
黙りこくる仕種が、見ていてもどかしい。
目が合わないよう、僕は二人のやり取りを聞いていないフリをした。
「あとは手袋があれば完成なのになぁ」
「手袋? 漫画の読み過ぎじゃねぇの?」
冴木のツッコミに同意だ。雰囲気から入ったところで、中身が伴わなければ意味がない。僕等は漫画のキャラクターじゃないのだから。
「手袋なんかしたら、料理運べないんじゃない?」
続いて上着を着た冴木は、見惚れるほど衣装が似合っていた。僕なんかよりもずっと。
「そんなの、二人は運ばないから関係ないよ」
「は?」
冴木の衣装を見て、僕は嫌な予感がした。
前のボタンを留め終えると、冴木と元橋さんは「おお」と声を揃えた。
「うわぁ、良いんじゃないの、執事! これこそ萌え!」
「俺、何かやる気出てきたわ!」
二人の興奮の声に誘われ、衣装を縫っていた生徒達からの視線も感じる。
恥ずかしくて、苦笑いしか出てこない。
「何か台詞言ってみてよ!」
「台詞って?」
「何でもいい、アドリブで」
「そんなの分かるか」
そもそも、台詞を決める段階にも至っていないのに。早とちり過ぎて笑ってしまう。
「ねっ! 似合ってるよね、奈央」
向井さんは真っ赤な顔で頷いた。
こんな反応、されても困る。何故だか僕が恥ずかしくなるじゃないか。
「あはは! やだ、何赤くなっちゃって」
黙りこくる仕種が、見ていてもどかしい。
目が合わないよう、僕は二人のやり取りを聞いていないフリをした。
「あとは手袋があれば完成なのになぁ」
「手袋? 漫画の読み過ぎじゃねぇの?」
冴木のツッコミに同意だ。雰囲気から入ったところで、中身が伴わなければ意味がない。僕等は漫画のキャラクターじゃないのだから。
「手袋なんかしたら、料理運べないんじゃない?」
続いて上着を着た冴木は、見惚れるほど衣装が似合っていた。僕なんかよりもずっと。
「そんなの、二人は運ばないから関係ないよ」
「は?」
冴木の衣装を見て、僕は嫌な予感がした。