少年少女リアル
 不意に名前を呼ばれ、過剰に反応しそうになった。

今日の冴木は天使かもしれない。良いタイミングで助け船を出してくれる。
そんな風に思っている僕は、嫌な奴だ。

「この後、暇?」

「何で?」

逃げるように、体の向きを変える。妙な解放感すら覚えた。

「おいおい、理由とか聞くなよ。俺と二人だったら断るって事?」

「そんな事言ってないだろ」

ストレート過ぎて笑ってしまった。
馬鹿正直にそんな事を聞く奴があるか。

「大丈夫、二人じゃないぜ! 来るだろ? 来るよな」

来るよな、って。
こじつけじゃないか。

「だから、どこに?」

ふっ、と一息分笑うと、気取った顔をした。それでも様になるから腹立たしい。

「夏、ま、つ、り」

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