少年少女リアル
「は?」
「夏の大イベントじゃん! 屋台! 花火! 浴衣ギャル!」
盛り上がる冴木の目には、もはや違う次元が映っている。
「悪いけど、人混み苦手だからパス」
「そんなに混まないって! 頼むよ」
何で、僕が。
ため息が零れる。
「やったー! 決まりー」
無邪気に喜ぶ冴木は、宇宙人と言うより犬だ。尻尾が生えていても違和感がないと思う。
「向井ちゃんは?」
「へっ?」
急に話を振られ、彼女の声が裏返った。数秒前の僕と大して変わらない。
焦点が今合った、という感じだ。
「今日、暇?」
この時点で、ああ、嫌な予感が走る。
「皆で夏祭り行こうぜ」
な、と半強制的に冴木が促すと、向井さんは躊躇いながらもコクリと頷いた。
喜ぶ冴木とは逆に、僕は静かに奥歯を噛む。
……来るなよ。
ああ、もう。
なぜ僕が行くのを横で聞いていたのに頷くんだ。
無性に苛立ってきて、僕は席を立った。