少年少女リアル
 そんなに混まない?

どこがだ。

神社の規模から考えて、そんなに大きい祭ではないと思っていたけれど、それは甘かった。

屋台の近くでは、肩をぶつけないように歩くのが困難なほど、人で混み合っている。
近くに小学校でもあるのだろうか。親子連れが多い。


「おい、大丈夫か?」

喧騒の中、自分にかけられた声だと分かった。
人混みに揉まれ、額の汗ばんだ武村が顔を覗き込んでくる。

「具合悪そうだな」

「ああ、人酔いしたかも」

だから人混みは嫌だ。

前にいる数人ははしゃいでいて、楽しそうだ。

こんな調子だし、時機を見て、はぐれついでに先に帰ってしまおうか。
僕が帰ったところで、誰に何の差し支えもないだろう。後から連絡さえしておけば。

こういう時、純粋に楽しめない僕は損なのだと思う。


「射的やろうよー!」

なぜかそれだけはクリアーに聞こえた。
誰の声かは分からなかったけれど、冴木が乗り気な返事をしたのは分かった。興味があるのか、続いて武村も名乗りを上げる。

その隙に、僕は一歩後ろへ下がった。
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