少年少女リアル
 もう皆からは大分離れたと思う。同じ方向へ進むのは、帰り道を行く親子連ればかり。

「実を言うと、酔ったんだ」

声を出して驚かれてしまった。誤解を招いたようだから、一応「人混みにだよ」と言い足した。


だから、帰るのだと。


本当は誰にも気付かれなかった方が都合が良かった。

「だから、向井さんは今からでも」

「抜け出そうよ」


え、と時間が止まる。

気分が悪いせいか、頭が上手く回らない。


さっきより少し人混みの減った道。

彼女は足を止めない。


いけない事をしているような。
それなのに、不思議と爽やかな気持ちがした。
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