少年少女リアル
 街道を抜けると、一気に辺りが暗くなった。まだ遠くから賑やかな声が聞こえてくる。


ようやく人が通りやすい道になった。首筋を汗が伝う。

「急に人通りが少なくなったね」

「人が減ると涼しいな」

さっきまで蒸し器にでも詰め込まれていたみたいだったのに。
ただでさえ暑いのに、あんなにも人が密集したら不衛生な気さえする。

「気分どう? マシになった? 暗くて顔色が分かんないや」

「うん、ありがとう」

車の通らない道路は物静かで暗い。このまま延々とカーブの先が見えないんじゃないか、なんて想像してしまった。


「もう夏休みも終わりかぁ。嫌だなぁ」

ああ、そうか。
よくよく考えれば、八月末に二学期が始まるから、あと十日ほどしかないのか。

「夏休み中もほとんど学校に来てたけどね」

文化祭の準備で雑用を任されたり、図書室で夏目さんに分析されたり。
夏休みの思い出と言っても、それくらいしかない。そう思えば、得たものなんてなかったのかもしれない。
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