少年少女リアル
 悟られないように、静かに深呼吸をした。それから、わざと呆れ笑いを漏らす。

「……関係ある?」

「あるだろ」

どうして、そんなに自信満々に言う。

「ないし」

それから、僕の言葉も、あまりに根拠のない言葉に聞こえたかもしれない。佳月には。


呆れ笑いはただの逃げ道だった。黙り込んだり、向きになるのは肯定する事と同じだったし、笑い飛ばすフリが、唯一、僕に浮かんだ回避策だった。

如何にも不服そうな声が、隣りで「あっそ」と呟く。

僕にだって、どうしてこんなに見ていて苛立ちを感じるのか、分からない。


これが誰に向けられたものかすらも、曖昧だ。

彼女? あの男?

それとも、自分自身なのか。


僕を好きだなんて、全く笑わせてくれる。あの男が好きなくせに。

加治原と呼ばれた、あの男に対しても嫌悪感しか抱けない。


繰り返される脳内再生。

止めろと叫ぶ信号を無視する。


数学の問題がどうしても解けない時と同じだ。どれだけ複雑でも、答えは一つなのに。そこへ辿り着かない。

分からない自分がもどかしくて、脳を掻き毟りたくなるほど、働かない頭にさらに苛立つ。
このループが延々と繰り返されていた。
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