失われた物語 −時の鍵− 《前編》【小説】
部室での練習が続いた
あと2週間…があと10日になり
あと1週間になった
今年は7月半ばからすでに真夏日で
期末テストが終わったあたりで
僕たちメンバーは少し疲れが
見えていた
元々防音の音楽室が部室なので
夏になると日中は冷房を使える
僕たちは束の間の涼風に
一息ついていた
「なんか…ぐったりしてんだよね
ここんとこ」
先輩が練習の合間の休憩で
ボソっと言った
「歳…ですかね!」
とヤツがすかさず突っ込む
間髪入れず先輩に殴られた
「あっついんだよ!」
「ああ…暑いデスネ…日本の夏は
蒸しマスネー」
と後輩のフォローが泣ける
僕も少し疲れていた
期末の勉強をしながら
ノイローゼのような空虚感と戦い
それに加えて去年からの
精神的肉体的なストレスに
元気なはずの夏場の体力を
削られてしまったみたいだった
「…僕も…少しバテてるかな」
「本番1週間前なのにな…多分元気
なのはナヲさんだけだろう」
「ハーイ!その通りデスヨ!」
「やはり…そうか」
ヤツの疲れはあの事件以来だ
「あのさ…チャージしようよ」
先輩が突然皆に提案した
「どうやってチャージ?」
ヤツが変な顔して尋ねた
「あそこ行こうよ…玉久司の弁天さ
ま」
「なんでですか?」
僕はそれとチャージとの関連が
見えずに先輩に尋ねた