俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
こんなとき、杏子が単純でよかったと思う。
あっさりとあたしのことは忘れ、再び美紅ちゃんに詰め寄りだした。
「……ほっ」
ひっそりとバレないように、安堵のため息をこぼした。
そうして一時間。
うまくかわし続けた美紅ちゃんの「あらもうこんな時間。お昼どっか行く?」という一言で、杏子は苦虫を噛み潰したような表情をする。
「悠由大丈夫?」
「うん。那智兄に押し付け……任せてきた」
「今押し付けてって言いかけなかった?」
「気のせい」
まだ納得のいっていない様子の杏子に声をかけ、おばさんに挨拶をして外へ出た。
「ら…」
伸びをしたときに目に入った空。
曇ってる。
雨…降っちゃうのかな?
「……洗濯しなくてよかったぁ」
「主婦か」
雷雨になりそうだったら帰らなくちゃ。
由那雷だいっきらいだし…。
あれは那智兄じゃダメだし。