私の敵はチビ会長









ピッーーーーープルルルル




「亜姑!?何してんだ!!?てか、いまどこ!?」




焦って心配そうな藍川くんの声





勝手に消えた私をすごく心配してくれる藍川くんがとても愛しい





いますぐに、会いに行きたい




いますぐに、会って抱きしめてもらいたい








…でも、もう私はそんなこと望んではいけないから







私は…






今から藍川くんを裏切るから










「…亜姑?」

『…ごめん。藍川くん。…私と別れ、て。』






もうそれ以上は何も言えない




これ以上話したら本心が出てしまいそうで…





怖かった。






ケータイを持つ手が震える





藍川くんは黙ったままで、なにも言ってこない




それが無性に不安で怖い





呆れられた?



嫌われた?





そんなことばかり考えていた







自分が裏切ったくせに、嫌われたくないんだもん




私…おかしいよね











「……なんで?……なんで、そんなこと…」

『っ!!藍川くっ………ごめっ…わたしっ…藍川くんと…一緒にっ…いたくないッ!!…』

『……あ、こ………』





やめて…





そんな辛そうな声で呼ばないでください





嘘って…




言いたくなるから









『……わかった』





ブツッ






切られた…。







あーあ…。



嫌われちゃった





涙が頬を伝うのに、私は笑っていた




馬鹿馬鹿しくて、自分が嫌すぎて…






藍川くんを傷つけた自分が大嫌い








…ごめんね。




藍川くん















< 303 / 485 >

この作品をシェア

pagetop