おやすみ
「家事って、けっこう疲れるもんだな。」

「これぐらいで、音をあげてたら主婦はできないよ。」

コーヒーを口に運んだ。

そして、テレビをつける。内容は朝から同じものだか、新しい情報が入っていないかと思ったからだ。

「…本当に終わるんだね。」

「みたいだなぁ。」

「私ね、やり残したことある。」

「何?今からできることか?」

「子供ね、生みたかった、ほしかった。」

妻はつぶやいた。

「俺もほしかったな。」

「もし、子供がいたら…今頃お爺ちゃん、お婆ちゃんだったかもね。」

「孫、抱いていたかもな…。」

「すぐ泣かすくせに…。社長の子供をクリスマスに預かった時に散々泣かしていたの忘れた?」

「そうだったか?」


俺達は二人でずっと生活してきた。
つまり、子供ができなかった。

特別に、願望が強かった訳じゃない。

周りの友人等と同じ様に二人の間に子供を授かるつもりでいた。

だから、家を購入するときも…少し無理した。

今となっては、二人には少し広かったな。

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