エクスタシー~極上のオトコ!?~
「なんか、いいことないかな」


美穂が天井に向かって煙を一つ吐いた。


これも姉の口癖。


私から見れば『いいことだらけの人生』に見えるのに。』


「ねぇ、お姉ちゃん……」


呼びかけた声は自分でも驚くほど深刻だった。


美穂はギクリとしたような表情になって
「なに? お金なら、当分、返せないわよ」
と、先回りした。


「違うよ。お金のことじゃなくて」


美穂はホッとした表情を見せたかと思ったら、途端に
「じゃあ、なによ」
と、横柄な声で聞き返してきた。


「私、ダイエットしようかと思って」


「マジ?」


驚いたように跳ね起きた美穂は、灰皿の真中でタバコをもみ消した。



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