王子様の甘い誘惑【完】
「もう済んだことだしどうでもいいだろ」
蓮は興味なさげにそう言うと、テーブルの上の煙草に手を伸ばした。
「……でもさ、一つだけどうしても納得できないことがあるんだけど」
「何?」
蓮はあたしのいない方に煙草の煙を吐き出す。
「あたしと蓮が初めて会った日、どうして蓮は理事長室にいたの?どうしてうちのひ弱担任はあんなに蓮を恐れてるの?」
「それは、うちの親父が学校に莫大な寄付してるから。だから俺は理事長室にも入れるし、意味もなく教師にペコペコされる」
「……あ、そういうこと」
蓮のお父さんがどんだけのお金持ちかは分からないけど、なんとなく理解できた。
うちの学校は私立だし、寄付はありがたいもんね。