王子様の甘い誘惑【完】

「とにかく、あの契約書はただの紙切れだしお前が気にすることは何にもないから。食費も光熱費も雑費も折半なんてしなくていい」


「でもそれじゃ申し訳ないよ……」


「うちの親父が言い出したんだから、いいんじゃね?理生のお父さんさんにうちの親父は頭が上がんないみたいだし」


うちのお父さん、蓮のお父さんに学生時代いったい何をしてあげたんだろう……。


「今度、蓮のお父さんにお礼言わなきゃ」


「別にあいつが勝手にやってんだから気にすんなって」


「ダメだよ!!あたしが今こうして蓮と一緒にいられるのも、お父さんのお陰でしょ?」


あたしがそう言うと蓮は「……バーカ」とほんの少しだけ照れ臭そうに微笑んだ。


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