ダークエンジェル

「私たちは日本からカイルに会いに来たのだ。
重傷なら、なおさら側にいてやりたい。」



さすがに、父はアメリカにいただけあって
英語をりゅうちょうに話す。

国文学の教授なのに… と、リュウは感心した。

リュウも英会話ぐらいなら出きる筈だったが… 

男たちに圧倒されてスムーズに言葉が出てこない。

が、何を言っているのかは何となく分かった。

彼らは誰も通すな、と言われているらしく、
無理にでも2人をエレベーターに押し戻そうとしている。

どうやらこの階はカイルの他に、
爆発の巻き添えになった社員が入院しているようだった。

彼らの家族らしき人たちが、
リュウたち2人を見ながらエレベーターを乗り降りしている。

そして、とうとう力負けして
エレベーターに押し込まれそうになった時だった。

落ち着いた感じの女性が声をかけてきた。



「日本のミスター・高倉ですか。
こちらが息子さんのリュウ。

私は会長の秘書兼世話係をさせてもらっています
エルザ・カトゥーンと申します。

お名前は会長から聞いています。

せっかくいらしてくださったのに、
会長はまだ意識がありません。

右足をひどくやられまして… 

一応、手術は終わっていますが… 

気がつかれましてもその先が… 」


「どういうことですか。
カイルの足が… 怪我がひどかったのですか。」



父が心配そうな声を出している。



「ええ… あ、よろしければこちらの部屋で… 

今、担当医が来ますので話を聞いてください。」



そう言って2人を応接間のような部屋に案内した。

そしてすぐに担当医、と称する医者が現われた。
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