ダークエンジェル

隣で言葉通り目を瞑っている父を見て、
リュウも同じように目を瞑った。

そして、カイルと会った時の様子を思い出していた。

いつもカイルが支えてくれた。

父さんは会っていないから、

16年ぶりの再会に緊張しているようだが、
自分は3度会っている。

もし父さんのようにカイルの意識が戻らなくても、

僕が父さんにしたように体をマッサージして、
僕のチャクラを導入してあげる。

いや、今頃は怪我の治療だけかも知れない。

カイルはスマートに見えたが筋肉質だった。

機敏な物腰で… 
瞬発力もありそうだった。

テニスも上手いのかも知れない。

怪我が治ったら一緒にテニスをしてみたいな。

そんな事を長々と思っていたが… 
いつの間にか眠っていた。









「父さん、ここにカイルは入院しているの。
立派な病院だね。」


「ああ、キングワード記念病院。
確かにここだな。」



初めての海外、
初めてのニューヨーク、

どこを見ても興奮のリュウは、
その気持を隠すように、

空港から乗ったタクシーではなるべく黙って景色を見ていた。

父もカイルに会うことで、
何がしかの緊張をしているようだった。

タクシードライバーも客は外国人、
ということで大して話しかけもしなかった。

それでも間違いなく病院の前でおろしてくれた。





しかし、最上階の特別室、と教えてもらったが、

その階のエレベーターを出たところで止められてしまった。

見渡せば… 
映画に出てくるような黒服の男たちが所々に立っていた。

どうやら警察ではなく私設のSPのような警備員だ。

まだ誰かがカイルを狙っているのだろうか。
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