ダークエンジェル

「ああ、まだ22歳なのにな。

まあ、落ち着くまでカイルの側にいてやろう。
リュウ、お前、大丈夫か。」



父は初めからそのつもりのようだ。



「学校の事。うん、先輩にだけは言っておかなければ。
心配したらいけないから。
それから学校にも話しておいてもらう。

もうすぐ夏休み、終わってしまうから。」



そう言ってリュウは携帯を取り出して日本の水嶋に連絡を入れた。

一緒に国体の練習は出来ない… 
それだけがリュウは気になっていた。

学校は… どちらでも良いが、
水嶋に頼んだ方が全てに上手くいくような気持だった。

水嶋はリュウの世話を焼くのが好きなのだ。



翌日、麻酔の投与をやめたカイルは目覚め、

リュウと高倉信秀の姿を見て驚き、

嬉しそうな笑みを浮かべた。


そして、担当医から自分の状態を聞いたカイルは… 

エルザが気にしていた通り、
いきなり氷結したように感情を押し込め… 

魂のない人形のようになってしまった。

医師が必死に、
足を切らなければ命に関わる、とか、
今は性能の良い義足がある、とか言っているのだが、

全く聞いてはいないようだった。

確かに美形の若者にとって、
片足に義足、と言う事は耐えられないかも知れない。

リュウはいきなり様子が変わったカイルを見て、
かける言葉が見つからない。

聞くところによれば、
カイルはスポーツ万能だったようだ。

カイルは学校へ通う事はしなかったが、

スポーツも、それなりの実力者に教えてもらったようだ。
< 104 / 154 >

この作品をシェア

pagetop