ダークエンジェル
「カイルに会えなかったのは、
まだカイルの状態が不安定だったからだと思う。
カイルが会わない、と言ったのではなくて、
周りの者が勝手に判断したのだと思う。
2日前までのカイルは…
私の願いとしても、
余計な刺激は与えたくなかった。
はっきり言えば、
今だって、そうだよ。
だけど、あの子の事だから…
今頃は何か動きを見せているかも知れない。」
「父さん、そんな事…
カイルだって、こんな話は無視するさ。」
リュウは、
カイルが余計な事に心を割くことが嬉しくは無かった。
だから、余計な事を知らす必要も無かったのだ。
「龍彦、忘れたのか。
カイルはソフィアの子供だよ。
ソフィアは私の知らぬ間に、
私の想定外の事を平然とやってのけた。
カイルも同じだと思う。
あくまでも冷静に…
あの子は人をまとめ、動かす能力も、
生まれながらに備わっているタイプだと思う。
そして私たちは彼の家族だ。
きっと今頃は、
私たちを巻き込んだと思い、
速やかに動いてくれるさ。」
そんな事をカイルが…
いや、父がそんな事を考えて電話したなんて…
あんな電話で父とカイルの心がつながっているとは…
リュウは父もカイルも大好きだが、
2人がそれほど分かり合っているとは気づかなかった。
今でも信じられない。
父とカイルに血縁関係は無い、
自分はカイルと同じ母を持つ兄弟、
それなのに父とカイルに…
それは新鮮な驚きで、
戸惑いでもあったリュウだ。
「そんな… 私たちはそんなつもりで…
私たちはただ… 」
信秀の言葉でドリーが震え、
一度乾いた涙がまた溢れている。
「ドリー、私はそんなつもりで言ったのではないよ。
カイルはカレンに復讐しようなど思ってはいない。
が、きっと、その影にいる者を探し始めると思う。
ああ、その優秀な捜査機関を動かしてね。
カイルはまだまともに動ける体ではないんだよ。」