ダークエンジェル

そしてリュウと目が合い… 
話を続けた。



「ああ、一年は、
病院の近くに部屋を借りて、
毎日、龍彦の顔だけを見に行っていた。

医者は最悪の場合、
脳に障害が出る可能性もある、とか言っていたが… 

父さんは無事に育てば、
それだけで幸せだと思っていた。」



が、カイルの事はそれだけだった。



「僕は何ともないよ。」


「ああ、ソフィアが守ってくれたんだ。
成長が遅かっただけで… 

今ではソフィアのように賢くて、
可愛い少年になった。

調べてはいないが、
カイルのように知能指数も高いかも知れんな。

同じソフィアの子供だ。」


「カイルは大きな会社のトップなんだね。」


「ああ、どうやら4年前に父親が死に、

その前後から不調和音が噴出して、
3人の兄たちがいがみ合っていたらしい。

その頃カイルは、
日本で言えば高校生ぐらい。

どんな思いで暮らしていたか… 
いずれにしても不憫な子だ。

こうして生きていたのが分ったからには会いに行きたいと思った。

どんな子に成長したのか、
この目で見てみたい。

爆発の余波で負傷して重態、となっていたが、
その先の事が分からんから心配だ。

龍彦、ちょっと眠っておこう。

カイルに会う時に、
寝不足のような顔をしていては
カイルを元気にさせられないからな。」


「うん… でも、僕、眠れないよ。」


「なあに、目を瞑って、
寝たふりをしていれば良いのさ。」



そう言って、
父は目を閉じている。


そうか、父さんは退院したところだから疲れたのだ。

だけど、とにかく僕に話しておこうと思ったのだ。

僕が何も知らないと思っていたんだ。
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