スキトキメイテキス【BL】
 
 掃除や片付けを始めながら、僕は改めて店内を見渡した。

 今日のこの1日が終われば、クリスマスなんて過ぎ去った過去になる。

 だんだんと増えていった飾りも、ツリーも、今日で見納めになる訳で。

 言い表せない淋しさと同時に、全ての飾りを取り払わなければならない面倒くささ。

 その両方が押し寄せて来て、何だか複雑な気分だ。

 僕はチカチカと光る電飾を見上げて、思わず溜め息を吐いた。


「──ボケっとしてないでツリーを片付けろ」


 足元に、乱雑に段ボールが重ねられた。

 目元に立派なクマが出来た俺様な店主は、そう言い残して工房の奥へと消えていく。


 何、今の。


 ただでさえ複雑な気分だったり、2日連続の大混雑で疲れているのに。

 お疲れさま、の一言も無しですか。

 ああそうですか。

 徹夜でケーキを作り続けて疲れてるのは知ってるけど。

 いくら何でもあの態度は無いでしょ。

 大人気ないにもほどがある!


 沸き起こる苛立ちに任せて、僕はツリーの電源をブチッと躊躇いもなく引っこ抜く。

 瞬時に輝きを失ったツリーと一緒に、今年のクリスマスも呆気なく終了してしまったような気がした。
 



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