スキトキメイテキス【BL】

 ツリーの片付けの所為もあって、気付けば僕が最後の1人になっていた。

 別に予定なんて無いし、その分バイト代ちゃんと貰えるから別にいいけど……って、何だか負け惜しみみたいだな。

 溜め息を吐きながらコートを羽織った時。

 不意に聞こえた足音に顔だけ振り返らせると、俺様水野が立っていた。


「……お疲れさまです」


 うっかり苛立った口調で言ってしまったけど、俺様水野はそんな僕に文句を突き付けることなく突っ立っている。

 本格的に、疲れているんだろうか。

 いつもみたいに言い返されたい訳じゃないけど。

 何だか僕の方が悪いことをしたような気分になってくるじゃないか!


「このあと、時間、あるか?」

「え?」

「……暇ならケーキ喰ってけって言ってんだよ」


 何その上から目線な言い方!


「お誘いありがとうございます。でも、クリスマスに予定の無い淋しい僕に気を遣ってくれなくて結構です。水野さんこそ、今日はこのあと約束があるんじゃないですか?」


 揶揄われているだけのような気がして、僕は強気に言葉を放っていた。

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