同棲彼氏
乗り終わった真湖斗は満足そう。



「次どこ行く?」



私は、真湖斗を無視して別の話題へ。



真湖斗はマップを広げた。



そして、「ここ!」と指さした。



見てみると、フリーフォール。



「ヤダ」

「行こうぜ」



今度は騙されない。あの悪夢のようなジェットコースターで私は学んだの。



「ココ!ここ行こう」



私はマップの中のお化け屋敷を指差す。



絶叫系は怖いくせに、お化けはわりと平気な私。



真湖斗を見ると、顔が青ざめている。



「俺・・・パス・・・」



なんだ、真湖斗、お化け屋敷ムリなんだ。



私はニヤリと笑って真湖斗の手を引っぱった。



最初っから笑顔で落とせないのは知っているから無理矢理引っぱるしかない。



どうせ、私は色気無しの女だ。



真湖斗があたしに惚れても笑顔では落とせないくらいの色気無しだ。



だったら無理矢理やるしかないじゃない!?



真湖斗をお化け屋敷の列に並ばせた。



「並んでるし・・・やめない?」



真湖斗は小さい声で言った。



臆病者め。



そのとき、列が動いた。



私達の番はあと二組で来る。



「あと二組だよ!?しかも、二組ってそんなに時間は変わりませーん。残念だったね」



真湖斗はげっそり。



そして、とうとう回ってきた順番。



「やめよう?」

「さっき私も嫌々乗ったし~」



私は真湖斗の発言を軽く受け流す。



係りのお姉さんが
「いってらっしゃ~い♪」
と営業用スマイルと思われる笑顔で言った。



私は真湖斗の手を引き、お化け屋敷の中に入った。



中は当然暗く、冷気ではなく霊気があった。



「寒いよ?だから風邪引かないように出よう」



真湖斗はまだ何か言っている。



中に入って途中リタイアできるわけないっつーの!



富士急ハイランドのお化け屋敷じゃないんだから。
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