汚レ唄
お兄ちゃんの頼みならなんだってきくよ。
私はカバンの中から財布を出すとお兄ちゃんの手のひらに乗せた。
「いい子だ♪」
そう言ってお兄ちゃんは頭をトントンと優しく撫でた。
そんなことされたら、心臓がもたない。
急速に早まる心臓の音。
急速に染まる頬。
不意打ち食らった。
こんなことされたら、やっぱり、私、お兄ちゃんから離れられないじゃない。
こんなことされたら、やっぱり、お兄ちゃんが1番だと思える。
「じゃあ、しょうがねーから、お前もお菓子買っていいぞ」
「本当に?!……ってそれ、私の財布だし」
「ははは。心配しなくても、後で全額返してやるって」
そんな自分勝手な優しさが好き。
「ありがと……」
大好きだよ、お兄ちゃん。
「何だよ。珍しく素直だねぇ」
コンビニに入って物色していくお兄ちゃん。
私はその隣で同じく物色する。
「お兄ちゃんこそ。いつもより機嫌がいい」
「へへへへへ。ちょっと良い事があってねぇ」
お兄ちゃんはコチラを見ると子供のように笑った。