汚レ唄


麻緋がこんな顔をしたら、即嫌味の1つでも言ってやりたくなんのに。



「べつに」

「なら、そんな顔しないの」

と今度は両頬をつままれて横にビヨーンとのばされる。






「……にゃにふんだよ」

「ここのラーメン、まじでうまいから!!騙されたと思って食べてみなって」


ふへへとだらしなく笑う羽香。






「はにゃふぇって」

「あ……」

羽香の手を掴み、自分の頬から放そうとしたとき、羽香の顔が切なげに歪んだ。





「なんだよ?まだつねりたりねぇのか?」

名残惜しそうに自分の指を見つめる羽香に話しかけたとき、

「おまちどー!!」

と豪快な掛け声がして、目の前に油がこってりのっかってるラーメンが運ばれてきた。







「うっわぁ〜(重たそう……)」

こってこてのラーメンにひるむ俺。



それに引き換え、
「うっわぁ〜(美味しそう)」


瞳をキラキラと輝かせる羽香。




はいっと得意の営業スマイルで割り箸を割ってからこちらに差し出してくる。





「わりーな」

それを受け取り、メンマを羽香のラーメンに乗せる。


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