alternative
「やぁ、晴」

ラルフが気さくな雰囲気で声をかける。

「っ!」

驚いたように振り向き、踵を返して逃げようとする晴。

「あ、逃げるな」

ラルフが呼び止める。

「別に無理矢理取り押さえようなんてつもりはない。少し話がしたいだけだよ」

緊張状態の晴をリラックスさせるように、つとめて柔和な表情を心がける。

それが効果をもたらしたのか、晴はそれ以上逃げる素振りを見せなかった。

…ふと足元を見る。

どこからか摘んできたのだろうか、花が供えられていた。

思えばここらは、ちょうど昼間の戦闘で機甲科偵察部隊の兵士が死んだ辺りだ。

「逃げるつもりだったんだけどね」

晴は重く閉ざしていた口を開く。

「ここを通りかかったら、思わず足が止まってしまったんだ…」

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