alternative
脱走が軍規違反である事は拭い難い事実。

晴は横須賀基地の兵士に連れられ、営倉へと案内された。

「咲月 晴訓練兵、一週間の営倉入りだ。何かあれば見張りの兵士がいるので伝えろ」

「はい…」

晴が営倉内に入ると鉄格子の扉が閉じられ、施錠される。

完全に牢屋だ。

檻を通して外を見ていると、自分が重罪人になったような気がして不安になる。

実際は基地の外に出ただけ。

それほど大それた罪を犯してはいないのだが、それも平時での感覚だ。

軍隊では平時の感覚が通用しない事もある。

しかし時雨の言う通り、銃殺刑にならなかっただけマシなのかもしれない。

一週間の辛抱だ。

営倉の中に座り、膝を抱え、晴はじっと我慢する事にした。

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