あたしを愛して。


「真由・・・思い出した?」


「・・・」


「・・・思い出したんだね」


「うん。あたしが真由だったんだね・・・由真」


「・・・うん」


「あたしが浮気相手だったんだね」


「・・・うん」



だから来るメールは《蓮を返して》だったんだ・・・。


だから他の友達もあたしを見る目が冷たくなったんだ・・・。



悪かったのは最初からあたしだったんだ。





そんなあたしは最初から蓮に愛されていなかったんだ。


蓮はただあたしのカラダだけが目的だった・・・。



蓮は最初から心は由真へ向けられてた。




「真由、あたしはあんたを許さないよ」


「・・・」


「蓮をそんな風にしてしまったことも・・・あんたがあたしから蓮を横取りしたことも、全部全部許さない」



由真はあたしを睨んだ。



昔は2人で色んなことを話して笑い合った仲だったのにね。


今は睨み、睨まれる仲。



笑っちゃうね。



でもね、もうそんなこといいの。



「由真、あたしのこと許さなくていいよ」


「え?」


「許さない、許すも、もうそんな時間ないもん」


「真由、もしかしてあんた・・・死ぬ気じゃないでしょうね」


「・・・ハァ」


1つため息を尽くと、由真は包丁に近寄って来た。


そして包丁を掴んだ瞬間、


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