「葡萄(ぶどう)を見つめるきつね」


「だめだにゃ。どうするのにゃ?」

「万策尽きたって感じだね・・・。」

「今度はわたしが登ってきてみるにゃ。」

「ねこさん・・・?」

「わたしは木登りは割りと苦手じゃないのにゃ。」

「ならなんで最初から言わないの・・・?」

「自分で採った木の実は、美味しいのにゃ!」

「まぁ、いいや。それじゃ、お願い・・・。」


猫は身軽でひょいひょいと木に登ることができた。きつねはじっと見守っていた。

そして、猫が木の実に触れている。

しかし、あと少しのところで落ちてこない。

猫はきつねの為に精一杯努力した。

しかし、それでも木の実は落ちなかった。そこで、猫はきつねに呼びかけた。


「あと少しなのにゃ!」

「がんばって!」

「一粒落としてみるから、味を調べてほしいのにゃ!」

「そう?うん!」

猫は木の実の一粒をきつねに落とした。

きつねは食べてみる。


渋く、すっぱいそれはきつねの好みではなかった。黙り込んでしまうきつね。


猫が降りてきた。


「どうだったかにゃ?」

「なんか・・・。夢で食べた木の実とは違う・・・。」

「そうだったのにゃ。だから、まだ早いって言ったのにゃ。」

「でも、形はあれなんだよ?」

「時期と言うものがあるのにゃ。それに、品種によっても味は変わってくるのにゃ。」

「むずかしいなぁ・・・。」

「まぁ、今は真夏だしにゃ。秋になるまで待つのにゃ。」


「秋になるとおいしいの?」

「わたしも食べたことが無いから分からないけれどにゃ。美味しいと思うにゃ。

木の実は秋が一番美味しいのにゃ。」

「そう、だよね。うん!秋までにあの木の実を採る方法を考えよう!」

「そうだにゃ。」

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