「葡萄(ぶどう)を見つめるきつね」


きつねはキリンと一緒に森の奥まで入っていった。

そして、猫がいるあの場所までやってきた。猫は初めて見るキリンに驚いていた。


「こんな生き物がいるんだにゃ・・・。」

「まぁ、俺は森の奥までは来ないからな。」

「それじゃ、あの果物なんだけれど・・・。」

「あれか。・・・ぶどうだな。任せろ。」


キリンはぶどうの根元を歯で齧(かじ)り取ると、ぶどうをいくつも落とした。きつねはそれを見守っている。そして。


「これだけあれば冬も越せるだろう。それじゃ、俺は帰るぞ。またな、きつね。」

「ありがとうね~!」

「キリン・・・。すごいのにゃ。」

「食べてみようよ!」

「そうだにゃ。どんな味なのかにゃ?」


きつねはぶどうを食べてみた。


以前よりも甘さが出ているが、それでもまだまだ酸っぱい。猫も同じ感想だったようだった。

お互いの顔を見て、笑いあった。


「これ、すっごく酸っぱいね。」

「夏のときとあまり変わらないのにゃ。」

「あはは。夢で見たときは、もっと甘かったのになぁ・・・。」

「まぁ、夢は夢のままでもいいんじゃないかにゃ。」

「そうだね。」

< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop