「葡萄(ぶどう)を見つめるきつね」
きつねはキリンと一緒に森の奥まで入っていった。
そして、猫がいるあの場所までやってきた。猫は初めて見るキリンに驚いていた。
「こんな生き物がいるんだにゃ・・・。」
「まぁ、俺は森の奥までは来ないからな。」
「それじゃ、あの果物なんだけれど・・・。」
「あれか。・・・ぶどうだな。任せろ。」
キリンはぶどうの根元を歯で齧(かじ)り取ると、ぶどうをいくつも落とした。きつねはそれを見守っている。そして。
「これだけあれば冬も越せるだろう。それじゃ、俺は帰るぞ。またな、きつね。」
「ありがとうね~!」
「キリン・・・。すごいのにゃ。」
「食べてみようよ!」
「そうだにゃ。どんな味なのかにゃ?」
きつねはぶどうを食べてみた。
以前よりも甘さが出ているが、それでもまだまだ酸っぱい。猫も同じ感想だったようだった。
お互いの顔を見て、笑いあった。
「これ、すっごく酸っぱいね。」
「夏のときとあまり変わらないのにゃ。」
「あはは。夢で見たときは、もっと甘かったのになぁ・・・。」
「まぁ、夢は夢のままでもいいんじゃないかにゃ。」
「そうだね。」