微熱-関谷side-
俺は多空から離れて、煙草に火をつけた。
「襲われるかと思った」
シュンとした表情も一瞬だけ。すぐにいつも通りの笑みを浮かべる。
「そっちの趣味はない」
いくらおまえが綺麗な顔でも、男相手に勃たない。
そう言うと、多空は「司にだったら抱かれてもいーけど」と笑った。
勘弁しろ。
「ああ、そうだ。今夜高見さんの友達に会うけど何か伝言はある?」
多空は、思い出したように軽やかに声を上げた。